vol.11里芋&さつまいも

“滋味”あふれる「おいも料理」に憩う

11月というと秋のイメージがありますが、11月7日が「立冬」(りっとう)と言うように、旧暦では、実はこの日から来年の立春までが冬なんです。秋はいつの間に去って、冬が来ていたんですね。そういえば、朝晩に冷え込むことも多くなり、これからは霜が降りることも日に日に増えてきます。畑の野菜たちにとっては寒く厳しい季節の到来です。大根や白菜などは冬野菜と言われますが、それでもやはり霜や寒さへの備えはしておかなくてはいけません。時には防虫ネットに不織布などを重ねて対策をしてあげる必要も出てきます。

そんな中、秋に芋掘りをして保管しておいた”おいも”たちは、日に日に寒くなるこの季節にますます美味しく楽しめる食材。今回は、その中でも、里芋とさつまいも、2つの”おいも”のレシピを紹介しましょう。土の栄養を吸収して美味しく育ってくれた”おいも”たちの滋養をいただけば、身体も心もほっこりと温まってきますよ。

収穫物~今日の収穫物 (10月に収穫したものの追熟)~
里芋、さつまいも

~今日のレシピ~
里芋ときのこの”ねっとり”グラタン
里芋の”ぬるぬる”あえ
“爽やか”スイートポテトサラダ

レシピ1:里芋ときのこの”ねっとり”グラタン

里芋は”おいも”たちの中では少し地味な存在かもしれませんが、和食の世界では、”おいも”の二大エース「じゃがいも」や「さつまいも」よりもむしろ目立つ食材かもしれません。ここでは、和のイメージの強い里芋で、グラタンを作ってみましょう。主役の里芋を引き立てるのは、秋の味覚のきのこと長ねぎと味噌という和テイストの食材たち。さらに、今回はホワイトソースに牛乳ではなく、豆乳を使ってより「あっさり」に仕上げてみました。もう少しボリューム感とコクが欲しい方は、牛乳を使ったり、ホワイトソースに溶けるチーズをプラスしたりしてみてください。こうすると、和風から和洋折衷の味へと近づいてきます。

<材 料>(材料は3~4人分です)
里芋・・・大3個
しいたけ・・・5個
しめじ・・・1パック
舞茸・・・1パック
長ねぎ・・・1本
豆乳・・・300cc
コンソメ・・・1つ(スティックなら1袋)
味噌・・・大さじ1
小麦粉・・・大さじ2と1/2
オリーブオイル・・・大さじ1
日本酒・・・大さじ1
塩、パン粉、粉チーズ・・・適宜

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<つくり方>
1.大きめの里芋を、さいの目切りにして使います。まず里芋は、たわしなどで汚れをこそぎ落としてから皮が付いたまま蒸します(または茹でます)。
2.竹串が通るようになったら、熱いうちに布巾を使ってつるりと皮を剥きます。
3.大きさ1.5センチ角くらいのさいの目切りにします。
4.切った里芋に大さじ1の日本酒をふっておきます。こうすると、ぬるぬるの里芋がくっつきにくくなります。
5.しいたけは石づきを取って細切りに、しめじも石づきを取ってから房を分けます。
6.舞茸は食べやすく小分けにしてからサッと茹でておきます。舞茸にはたんぱく質分解酵素が含まれているため、茹でておかないと、この後作るホワイトソースが固まらずに分離してしまいます。
7.ここからはホワイトソースを作ります。まず長ねぎを小口切りにしてフライパンにオリーブオイルを大さじ1、塩をひとつまみ入れて弱火でゆっくりと炒めます。
8.長ねぎが透き通ったら小麦粉を長ねぎにまぶす感じで加えます。
9.コンソメをお湯に溶かし、フライパンに一気に注いだら、すかさず泡立て器で小麦粉を溶かすイメージでかき混ぜます。
10.小麦粉の固まりが見えなくなり、少しとろみがついたら、豆乳(または牛乳)を注ぎ、きのこ類、味噌を加えて、さらにとろみが強くなるように、かき混ぜながら火を通します。溶けるチーズを足す場合はこの段階で入れます。
11.グラタン皿に入れて、パン粉、粉チーズをふり、オーブンで焼き色がつくまで火を入れたら出来上がりです。

レシピ2 :里芋の”ぬるぬる”あえ

掘ったときの里芋がどんな形になっているか見たことはありますか?
大きな親芋のまわりにコロコロと可愛い子芋がつながっている感じで、まるで家族みたいです。スーパーでも「親芋」と書かれて大きな里芋が売られているところをよく見かけます。このレシピでは、大きな親芋ではなく、小さな丸い子芋の方を使ってあえものを作ってみましょう。輪切りにした里芋と、つぶしてぬるぬるのあえ衣にした里芋のハーモニーが楽しめる、大人のための”おつな”一品です。

<材 料>(材料は2人分です)
里芋・・・小10個
味噌・・・大さじ1.5
砂糖・・・​大さじ1.5
白すりごま・・・​大さじ4
めんつゆ​・・・大さじ1
お湯・・・大さじ1

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<つくり方>

  1. 里芋(子芋)は、たわしなどで汚れをこそぎ洗いをしてから皮のまま蒸します(または茹でます)。
  2. 竹串が通ったら、熱いうちに布巾を使ってつるりと皮を剥きます。
  3. 半量は輪切りに、半量はつぶします。
  4. つぶした里芋に、味噌、砂糖、白すりごま、お湯を加えてよく混ぜ、ぬるぬるのあえ衣を作ります。
  5. 輪切りにした里芋とあえ衣を合わせたら出来上がりです。

レシピ3 :”爽やか”スイートポテトサラダ

さて、今度はさつまいもを使ったもう一品をご紹介します。じゃがいものサラダが「ポテサラ」ですが、さつまいものサラダは「スイートポテサラ」とでも呼べばいいでしょうか?(笑)
ここでは、りんごと干しぶどうを使った、まるでスイーツのように味わえるスイートポテサラを作ってみましょう。りんごの爽やかな酸味と干しぶどうの甘酸っぱさが、さつまいものやさしい甘さと絶妙のコンビネーションを発揮してくれます。さつまいもはビタミンCたっぷり、食物繊維たっぷりの嬉しい美容食ですから、お茶うけとしても召し上がってくださいね。

<材 料>(材料は3~4人分です)
さつまいも・・・400g
りんご・・・1個
干しぶどう・・・大さじ3
マヨネーズ・・・大さじ3
豆乳または牛乳・・・適宜
塩・・・ひとつまみ

<つくり方>

  1. さつまいもは皮付きのまま厚めの輪切りにして茹でます。
  2. 干しぶどうはお湯に浸して柔らかくしておきます。
  3. りんごは1/4にカットしたものをさらに1/3の薄さにしてから、いちょう切りにして塩水に放っておきます。
  4. さつまいもに竹串が通ったら熱いうちに皮を剥きポテトマッシャーでつぶします。
  5. つぶしたさつまいもにマヨネーズを加え、豆乳(牛乳)で好みの柔らかさに調整します。
  6. 塩をひとつまみ入れて、甘さの調整をします。(塩をひとつまみ加えることでより甘さが強調されます)
  7. さつまいもに水分を切った干しぶどうとりんごを加え、ざっくりと混ぜ合わせれば出来上がりです。

寒くなっても、畑仕事はまだまだ続きます

11月の畑では大根や白菜たちがすくすくと育ってくれています。どちらも緑がとってもきれいでなかなか気持ちのいいものです。この時期に大事な畑仕事が「間引き」作業です。一般的に、大根の種の場合だと、1カ所に2~3粒蒔くので、だんだん育ってくると葉が密集してしまい、土から吸収する栄養も太陽の光も奪い合いになってしまいます。根も深く太く育っていきますから、どこかの段階で間引きをしなくてはいけません。
間引きというと無駄なように思うかもしれませんが、間引いたものを美味しくいただきますので、実は無駄がありません。「間引き菜」という言葉があるくらいです。
また、この時期「間引き」と並んで、大切な畑仕事が「種取り」です。夏から秋に獲れた野菜の中で状態がいいものの種を取って保存しておきます。すべての種が使えるわけではありませんが、その畑で丈夫に美味しく育った野菜は次の年にも丈夫で美味しい野菜になってくれる可能性があります。だんだんその土地に馴染んでくるのでしょうか。私たちの畑では毎年立派なパプリカが育ってくれるようになりました。
「間引き」と「種取り」、どちらも地道な畑仕事ですが、美味しい野菜をいただくためには欠かせない大切な作業です。ぜひ、皆さんの菜園でも試してみてはいかがでしょうか。

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