vol.8なす&トマト

なすとトマトの“お手軽”ラタトゥイユ

8月といえば夏本番。太陽がじりじり照りつけてくる季節です。青い空に入道雲がもくもくと湧き上がり、近くの木立でセミが一斉に鳴いている。そんな情景がピッタリ来ますね。でも、実は、そんな夏真っ盛りの季節の中に少しずつ秋の気配が入り込んできています。暦の上では8月7日は立秋。そう、今はもう秋なんですね。夏野菜たちもこの気配を敏感に感じ取り、せっせと種を作り、子孫を残そうとしているのでしょう。実がどんどん大きくなり次々に色づいていきます。
今はそんな夏野菜たちが実に美味しい季節でもあります。畑でもトマト、なす、ピーマン、きゅうり、ズッキーニ、かぼちゃが取り放題。子孫を残そうとする野菜たちにはちょっと申し訳ない気もしますが……。
そんな夏野菜の中でも大スターと言えるのがなすとトマト。どんな料理にも合う万能選手ですね。今回はこのなすとトマトを使ったシンプルなラタトゥイユを紹介しましょう。
一般的に、ラタトゥイユには、なすとトマト以外に、パプリカ、ズッキーニ、時にはかぼちゃまでも入れますが、主役を二つだけに絞ると、それぞれの味がぐっと引き立って、とても鮮烈な料理に仕上がります。しかも野菜を切ったり火を入れたりする手間が減りますから、時短にもなります。もう一品は、料理の名脇役でもある玉ねぎを使った“あまうま”冷製ムース。鮮烈なラタトゥイユに添えてお召し上がりいただくと、両方の美味しさがいっそう引き立ちます。

収穫物
~今日の収穫物~
なす、ミニトマト

~今日のレシピ(材料はすべて3~4人分です)~
なすとトマトの“お手軽”ラタトゥイユ
玉ねぎの“あまうま”冷製ムース

レシピ1 : なすとトマトの“お手軽”ラタトゥイユ

今年もミニトマトとなすが豊作です。毎週のように採ってもまた次の週にはたくさん実が出来ていて、畑でトマトの赤となすの紫を目にするたびにとても嬉しく豊かな気持ちになります。今回ご紹介するのはこの二つが主役のシンプルなラタトゥイユ。隠し味のスパイスにクミンとカイエンヌペッパーを使って、主役の味をストレートに引き出します。温かいまま食べてももちろん美味しいのですが、冷たく冷やすと、いっそう鮮烈な味になってくれます。まさに夏の味覚。ぜひお試しあれ。

<材 料>
完熟生トマト・・・ミニトマト20個(大玉なら1~2個)
なす・・・大3個(中なら3個)
トマト缶(カットしたもの)※・・・1缶
玉ねぎ・・・中玉1個
にんにく・・・1かけ
コンソメ・・・1つ(スティックなら1袋)
オリーブオイル・・・大さじ1
クミンシード、クミンパウダー、カイエンヌペッパー・・・小さじ1/3~1/4(お好みで調整ください。多めに入れるとカレー風味になります。)
塩、胡椒・・・適宜
ローリエ・・・1枚
※トマト缶を使って酸味を強調します。生トマトのフレッシュな酸味にトマト缶の甘みが加わって、味にパンチが出ます。

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<つくり方>
1.にんにく、玉ねぎはみじん切りにします。
2.生トマトは中玉、大玉の場合はザク切りにします。舌ざわりが気になるようなら、皮をむいておきましょう。(前回、ご紹介したように冷凍しておいて水に放っておくとスルリとむけます)
3.お鍋もしくは深めのフライパンにオリーブオイルを熱し、玉ねぎとにんにくを入れたら塩を少しふって炒めます。
4.輪切りにしたなすをフライパンに加えてさらに炒め、全体によく混ざったら、生トマト、トマト缶、クミンシード、クミンパウダー、カイエンヌペッパー、ローリエを入れて、なすに火が通るまで弱火で煮込んだら、塩、胡椒で味を調えて出来上がりです。三つのスパイスの量はお好みですが、あまりたくさん入れてしまうとカレーになってしまいますから、ここではそうならないようにそれぞれ小さじ1/3~1/4くらいの量にしています。

レシピ2 : 玉ねぎの“あまあま”ムース

玉ねぎと言えばラタトゥイユに欠かせない縁の下の力持ち、トマトやなすなどのカラフルな夏野菜に比べるととても地味で重要な脇役という役回りですが、ここで紹介するムースでは一転、完全に主役級の働きをします。じっくり炒めることで、生では味わえない玉ねぎの旨みと甘みがぐいっと姿を現します。そのまま味わっても驚きの“極旨”ムースになりますが、他の料理を格段に引き立てる調味料としても絶妙の働きをしてくれます。今回のラタトゥイユでも、トマトの味が強く出ますので、少し柔らげて味わいたいときなどは、ぜひこのムースを添えてみてください。味に奥行きが出て、まるで2種類のラタトゥイユを食べている気分になります。

<材 料>
玉ねぎ・・・400グラムくらい(大1個または中2個)
オリーブオイル・・・大さじ3
塩・・・小さじ1/4
無添加コンソメ・・・小さじ1/3
メープルシロップ・・・小さじ1/4~1(お好みで)

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<つくり方>

  1. 玉ねぎは粗みじんに切り、フライパンに入れます。
  2. オリーブオイルと塩を入れたら、はじめは強火で、ある程度透き通ってきたらコンソメを入れて中火にしてさらに炒めます。10~15分くらいすると玉ねぎが飴色に変わってきます。味を確認して塩加減を調整します。甘みが足りないようならお好みでメープルシロップやはちみつなどを入れてさらに炒めます。
  3. 水を150ccほど入れてさらに5分ほど煮詰めます。ほどよいところで火を止めます。
  4. ホーローなどの入れ物に移し、氷水を使って冷やしておきます。
  5. 十分に冷えたらミキサーにかけてムース状にします。
  6. 器に入れてラップなどで密封して冷蔵庫で冷やせば出来上がりです。

おまけレシピ:巨大きゅうりでフレーバーウォーター

成長の早い夏野菜の中で成長スピードナンバーワンなのが「きゅうり」です。ちょっと畑をお休みすると、あっという間に巨大化してしまいます。巨大化したきゅうりは、皮が固くなってしまうだけでなく、種も大きくなって生では食べにくく、味も薄くなりがち。料理には使いにくくなってしまいます。こんなときには、炒めたり、スープの具として煮たりして火を入れて使うことが多いのですが、今回は生のままで使えるように欧米のセレブに人気のフレーバーウォーターに挑戦してみました。利尿作用があるカリウムがたっぷりなので、水の取り過ぎでむくみがちな人はぜひお試しください。レモンを加えてより飲みやすくなる上にビタミンC効果もばっちり期待できますよ。
<材 料>
きゅうり・・・大1/2本(もちろん普通のきゅうりでもOK。その場合は1本)
レモン・・・1/2個
水・・・1.8リットル

<つくり方>

  1. きゅうりは拍子切りにします。
  2. レモンは輪切りにします。有機栽培や無農薬栽培でない場合は皮をむいてから使います。
  3. 麦茶用のボトルなどに入れて、水を注いで半日くらい冷やせば出来上がりです。

ベランダ菜園も夏野菜真っ盛りに

わが家のベランダ菜園でもミニトマト、きゅうり、なす、バジルなど、畑と同じ野菜を作っています。味のほうは、もちろん自然の恵みをたっぷり受けた畑の野菜には敵わないのですが、それでも食べる直前に収穫できるので、結構みずみずしく、畑の野菜がなくなったときなど重宝することがあります。それだけではなくて、一つの野菜を苗の状態からつぶさに観察できるので、いろいろと栽培実験のようなこともできて、学んだことを畑で実践することもできます。
そんななか、毎朝、かわいい野鳥たちがこのベランダ菜園にやってきます。カラスたちもときどき野菜の様子をうかがっている気配がします。トマトなどが甘く熟してくれば鳥たちにとってはこの上ないご馳走。あっというまに食べられてしまいます。そんなときに役立ってくれるのが意外や意外、キッチンで使う「水切りネット」です。ミニトマトの実が一つ、二つ赤くなってきたら、ひと房をまるごとネットで覆ってしまいましょう。こうすると、小鳥たちはなかなか手出ししてきません。実が熟して下に落ちてしまうことも防げますから、まさに“一石二鳥”なんです。
今年は、畑でもこの方法でトマトととうもろこしを“防衛”。効果はてきめんで、ネットをかぶせなかったとうもろこしは熟した途端にハクビシンという害獣に軒並み食べられてしまいましたが、かぶせたものは何とか守ることができました。嬉しいことに鳥や虫からも守れました。少し手間がかかりますが、野菜たちへの愛情も深まります。家庭菜園でも有効ですのでぜひお試しください。

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